リサイクル 横浜明日へのステップ
米国では、企業側が1980年の確定拠出型年金制度(401k)の導入にあたり、従業員の同年金制度や金融商品に関する理解を促進するために、説明書や案内書のみならず、実際に資産運用を担当する会社から講師を派遣してもらい、金融の啓蒙教育や投資教育を行った。
確定拠出型年金の投資対象商品には国債、預貯金、保険、投資信託、自社株など多くの選択肢が用意されていたが、企業は従業員に対して金融の基礎的な教育から、リスクを伴う資産運用手法など多様なリスクについての投資教育を実施した。
その理由は、B&Cの「職場における金融教育の要因と結果」によれば、従業員に確定拠出型年金の制度を理解してもらう必要があった。
米国には両者の間で企業年金への加入率に差が出ることを回避したいという意向が企業側に働きやすい。
そのため、投資教育は低報酬従業員を対象に行われることが多い。
投資教育によって企業年金への参加を高めることができれば、従業員間の対立を緩和することができるという効果や、企業年金への参加を通じて企業への忠誠心が高まるという効果が期待できる。
従業員が資産運用を行うに当たり、企業に情報提供や支援を要求する。
企業がそうした要求に応じる形で、投資教育を進める。
このような米国特有の事情はあったものの、重要な点は確定拠出型年金の導入にあたり、周到な形で従業員に対して投資教育が行われたということ、また、企業側・従業員側双方が投資教育の実施を望んだということである。
それでは、投資教育の効果は一体どの程度のものであったのか。
米国の確定拠出型年金導入の際に実施された投資教育について、これを従業員側から見た効果に関しては前出のバーンハイム&キャレットの分析があり、企業側から見た効果に関してはB&Bの分析がある。
これらの分析によれば、投資教育の効果については以下のようにまとめることができよう。
投資教育は企業が集中的・継続的に行わなければ従業員の行動に変化は出てこない。
企業による投資教育の提供は、個人の資産運用に関する金融知識に影響を与える。
従業員は老後に備えるための資産運用に関する知識について自主的には習得しようとしないため、投資教育には一定の強制力がないと、従業員に強い動機づけを与えない。
資産運用にあたっては複雑な意思決定が求められるが、意思決定を下すに当たっては投資教育を受けているかどうかが分岐点となる。
この分析結果から、日本の投資教育を実施するにあたって一定の方向性が見えてくるのではないか。
投資教育実施に当たっては強制的に従業員を参加させる必要があるということである。
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